朝、目は覚めている。やらなきゃいけないことも、頭ではわかっている。なのに、気持ちがついてこない。体が動かないというより、心がそこに乗ってこない感じ…。
何かがあったわけじゃないのに、ただ「やる気が出ない」…そんな日、ありませんか?私はあります。それも、けっこうな頻度で。そんな時は「サボってるだけじゃない?」「みんなちゃんとやってるのに」と、自分を責めてしまいがち。
でも、そんな日があっても、いいんです。やる気が出ないのは、あなたの気合いが足りないからでも、怠けているからでもありません。
この記事では、自分を責めずに少し前に進むために、私が実際にしていることをお話しします。「頑張って元気を出す方法」ではありません。むしろその逆の話です。
・更年期にやる気が出ない理由
・やる気を出すための小さな工夫
・どうしてもしんどい時の対処法
やる気が出ないのは、あなたのせいじゃない
やる気が出ないのは、朝に限りません。昼下がりにふっと、夕方にどっと、やってくることもあります。そして、更年期世代の私たちにとって、この「気持ちがついてこない感じ」は、わりと自然なことだったりします。
私は夕方〜夜に急にやる気が出なくなります。
帰宅時にスーパーで買い物をしたときはやる気に満ち溢れてるのに、帰宅後はやる気がまったくない。食材を買ったのに作る気になれない。
「こんなことならお惣菜を買っておけばよかった」…と後悔することが多いんです。
どうして、こんなふうになってしまうのでしょう。
私たちの気分ややる気には、脳の中の物質(気分を支える「セロトニン」、意欲をつかさどる「ドーパミン」)が関わっています。そして女性ホルモンのエストロゲンは、その働きを支えていると言われています。

更年期世代は、そのエストロゲンが大きく揺れ動く時期。だから、気分や意欲がいつもどおりにいかない日があっても、不思議ではありません。
もちろん、原因はそれだけではありません。疲れや気圧、ちょっとした心配ごとも重なります。でも、ひとつだけ言えるのは、やる気が出ないのは、あなたの気合いが足りないからでも、意志が弱いからでもない、ということ。
「ちゃんとしなきゃ」と自分を追い立てる前に、まず「今はそういう時期なのかもな」と、肩の力を抜くことで楽になるかもしれません
やる気は、あとからついてくる


ここからが、今日いちばんお伝えしたいことです。
「やる気が出たら動く」と思っていませんか
私はずっと、こう思っていました。「やる気が出たら、動こう」って。
掃除も、仕事も、ちょっとした用事も。気持ちが乗ってきたら手をつければいい。だから、乗ってこない日は仕方ない。そう思って、やる気が湧いてくるのをじっと待っていたんです。
でも、ある日ふと気づきました。
むしろ逆だったんです。
気が進まないまま、とりあえずお皿を一枚洗ってみる。外にちょっと出てみる。そうやって小さく体を動かしているうちに、「もう少しやってみようかな」と、あとから少しずつ気持ちがついてきた。
順番が逆だったんですね。「やる気 → 行動」ではなく、「行動 → やる気」。ほんの少し動くことが、先だったんです。
行動活性化という考え方
実はこの「先に少し動くと、気分があとからついてくる」という考え方には、ちゃんと名前があります。行動活性化と呼ばれていて、もともとは気分の落ち込みへの対処法として研究されてきた、れっきとした心理学のアプローチです。
気分が沈むと人は自然と動かなくなります。動かないと、できることが減って、さらに気分が沈む…。この「動かない→落ち込む→もっと動かない」の小さな悪循環から、そっと抜け出すために、
行動活性化は、そういう考え方です。
自己流でたどり着いた「とりあえずお皿一枚」は、知らず知らず、この考え方に近いことをしていたみたいです。気休めだと思っていたことにちゃんと裏づけがあったと知って、私は少しほっとしました。
頑張って動かなくていい
ひとつだけ誤解されたくないことがあります。
これは決して、「気合いで動きなさい」「やる気がなくても頑張れ」という話ではありません。むしろ、その反対。
「部屋を片付ける」ではなく「お皿を一枚洗う」。「散歩する」ではなく「玄関を出て、深呼吸を一回する」。途中でやめてもいい。それだけで、もう十分なんです。
頑張って大きく動くのではなく、ばかばかしいくらい小さく動く。次の章では、私が実際にしている「小さな動き」を、いくつかご紹介しますね。
やる気が出ない日に、私がしている小さなこと


ここからは、私が実際にしている小さな動きをご紹介します。
先にお伝えしておきたいのは、全部やらなくて大丈夫だということ。4つ並べますが、今日の自分にできそうなものをひとつだけ選べれば、それで十分です。一つも選べない日があっても、いいんです。
「今日はこれだけ」を、ひとつ決める
やる気が出ない日ほど、私たちは「あれもこれもやらなきゃ」と、頭の中でやることを増やしがちです。でも、そういう日は逆。足すのではなく、減らす。
洗濯だけ。メール一通の返信だけ。なんなら「お風呂に入るだけ」でもOK。決めたひとつ以外は、ぜんぶ「またいつか」の箱に入れてしまう。やることを減らす許可を、自分に出してあげるイメージです。
とりあえず、5分だけ
「やる気は、あとからついてくる」でお話しした「小さく動く」を、いちばん手軽にするコツがこれです。
お皿を一枚洗う。机の上のものを一つだけ片付ける。玄関を出て、ちょっと外の空気を吸う。タイマーを5分かけて、鳴ったらやめていい。
5分のつもりが「もう少しやろうかな」になれば、続けてOK。動き出せたこと自体が、もう花丸です。
いまの気持ちに、名前をつける
これは体ではなく、心の中でする小さなこと。「なんだかしんどいな」とモヤモヤしているとき、
「ああ、私はいま、疲れているんだな」「ちょっと不安なんだな」と、心の中でつぶやくだけ。
気持ちに名前をつけると、心が落ち着くことがあります。実際、気持ちに言葉を当てると、感情の高ぶりに関わる脳の部位の反応がやわらぐことが報告されているそうです。
正体のわからないモヤモヤに名前がつくと、ほんの少し、その気持ちが扱いやすくなる気がします。
「親友だったら、何て言う?」と考えてみる
やる気が出ない日、私たちは自分に厳しくなりがちです。「なんでこんなこともできないの」って。そんなとき、こう想像してみます。
きっと「怠けてる」なんて言いませんよね。「今日は休みなよ」「そういう日もあるよ」って言ってあげるはず。その言葉を、そのまま自分にかけてあげるんです。
自分にやさしくする姿勢は「セルフ・コンパッション」と呼ばれていて、心の健やかさと結びつくことが、多くの研究で示されています。自分にやさしくするのは、甘えではありません。
セルフ・コンパッションは、明日もまた、自分とうまくやっていくためのコツなんだよ
それでも、しんどい日は


ここまで「小さく動く」お話をしてきましたが、最後に、いちばん大事なことを。
どうしても動けない日は、動かなくていいんです
お皿一枚も、5分も、気持ちに名前をつけることすら、しんどい。そんな日もあります。そういうときは、何もしない自分を責めずに、ただ休んでください。
布団から出られなくたって、いいんです。「今日はそういう日」と決めて、まるごと休む。それも、立派に自分を大事にすることです。
動くことも、休むことも、どちらも「自分をいたわる」という同じ場所から出ている…私はそう思っています。
もし、こんなサインが続くようなら、ひとりで抱え込まないでくださいね。
・気持ちが乗らない状態が、何週間も続いている
・つらさが、日に日に強くなっているように感じる
・以前は好きだったことまで、楽しめなくなっている
これらは「やる気の問題」の範囲を少し超えた、心や体からのサインかもしれません。
そんなときは、婦人科や心療内科など、専門家に相談してみてください。相談することは、弱さでも大げさでもありません。ゆらぎ世代の不調に理解のある先生も増えています。話すだけで、心が軽くなることもあります。
頑張りすぎなくて、大丈夫。頼っていい場所が、ちゃんとありますよ
おわりに


この記事は、「やる気が出ない日をなくす方法」をお伝えするものではありませんでした。むしろ、その反対です。
やる気が出ない日は、きっとこれからもやってきます。更年期世代の私たちにとって、それは気合いの問題ではなく、体の中で起きている自然な変化の一部だったりするのですから。
だからこの記事でお話ししたかったのは、そんな日をなくすことではなく、そんな日とうまく付き合うこと。
そのために、ひとつだけ覚えて帰ってもらえたら嬉しいのが…「やる気は、動いたあとからついてくる」ということ。やる気が出るのを待つのではなく、ばかばかしいくらい小さく動いてみる。お皿を一枚、玄関の外に一歩。それだけで、もう十分なんです。
・どうしても動けない日は、まるごと休む
・動く日も、休む日も、どちらも同じくらい、自分を大事にする
頑張れる日はちょっとだけ頑張って、でも無理はしない。そうやって、自分のペースで、自分らしく過ごしていけたらいいですね。
今日のあなたが、少しでも軽くなりますように。
▼ 日本語で読める情報(更年期とこころについて)
- 日本産科婦人科学会「更年期障害」
https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
▼ さらに詳しく知りたい方へ(海外の研究)
- 更年期移行期のホルモン変動と気分障害のレビュー(ScienceDirect, 2024)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378512224001828 - 更年期症候群の生理・心理の統合レビュー(PMC)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12635657/ - 行動活性化がうつへの効果をもつことのレビュー(PubMed)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19933444/ - 行動活性化の有効性に関するメタ分析の更新(PMC)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4061095/ - 感情に言葉を当てることの効果(Lieberman et al., 2007, Psychological Science)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17576282/ - 自分にやさしくすること(セルフ・コンパッション)のレビュー(Neff, 2023, Annual Review of Psychology)
https://www.annualreviews.org/content/journals/10.1146/annurev-psych-032420-031047








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