「健康診断の血液検査では、引っかからなかったのに」
「なんだか、いつも体がだるい」
「しっかり寝ても、疲れが取れない」
そんな不調が続いていませんか?
検査では問題なかったからと、なんとなくの不調を抱えたまま過ごしてしまう。その不調の陰に「隠れ貧血」が関わっていることがあります。
ここでは、健康診断では見つかりにくい鉄不足の話、ゆらぎ世代に鉄が足りなくなりやすい理由、そして気になったときにできることについて、お話ししていきます。
この記事は、健康診断では見つかりにくい鉄不足について、体験を交えながらまとめたものです。
体調不良が続く場合や不安がある場合は、自己判断せず医療機関で相談してください。
・健康診断では見つかりにくい「隠れ貧血」について
・ゆらぎ世代が鉄不足になりやすい理由
・気になったときにできること
健康診断で「異常なし」でも、鉄が足りないことがある

「血液検査で貧血を指摘されたことはないから、鉄は足りているはず」。そう思っている方は多いかもしれません。私もそうでした。
でも実は、健康診断では見つかりにくい鉄不足があります。それが「隠れ貧血」です。
ここで知っておきたいのは、体の中の鉄が2種類あるということ。ひとつは、いま血液の中ではたらいている鉄(ヘモグロビン)。もうひとつは、いざというときのために肝臓などにたくわえられている鉄(フェリチン=貯蔵鉄)です。
わかりやすく言うと、ヘモグロビンは「お財布の中のお金」、フェリチンは「貯金」のようなもの。体は、鉄が足りなくなると、まず貯金(フェリチン)を切りくずして補おうとします。だから、貯金が減ってきても、お財布の中身(ヘモグロビン)はしばらく保たれるんです。
イメージにするとこんな感じです。

ここが大事なところです。一般的な健康診断で測るのは、多くの場合ヘモグロビンだけ。つまり「お財布の中身」しか見ていません。すると、貯金(フェリチン)がかなり減っていても、お財布にお金が残っているうちは「貧血なし=異常なし」と判定されてしまいます。これが、健康診断で見つかりにくい理由です。
貯金が底をつきかけているのに、まだ大丈夫と見なされてしまう。隠れ貧血とは、そんな状態なのです。
フェリチンは、体の中で鉄をたくわえておくタンパク質で、「貯蔵鉄」とも呼ばれます。鉄不足は、まずこのフェリチンが減ることから始まり、進んでいくと最後にヘモグロビンが減って、はじめて「貧血」として健康診断にあらわれます。
逆に言えば、ヘモグロビンが正常でも、フェリチンはすでに減っていることがある、ということです。フェリチンは通常の健康診断には含まれないことが多く、調べるには医療機関での血液検査が必要です。
こんな不調、ありませんか?

隠れ貧血は、じわじわと進むため、自分では気づきにくいのが特徴です。「これくらい、みんなあるよね」と思っているうちに、鉄が足りない状態が続いていることもあります。
たとえば、こんな不調です。
- なんとなく、いつも体がだるい
- しっかり寝ても、疲れが取れない
- 朝、なかなか起きられない
- 階段や坂道で、思ったより息が切れる
- 頭痛が起きやすい、頭が重い
- 顔色がさえない、と言われる
- 気分が落ち込みやすい、集中できない
心当たりはありませんか?
ここで気をつけたいのは、これらの不調が、更年期の症状ともよく似ているということ。「だるい」「疲れる」「気分が沈む」…。どれも、ゆらぎ世代なら誰もが感じやすいものばかり。
だからこそ、「更年期のせいだろう」と思っているものの中に、実は鉄不足が隠れていることもあるんです。
もちろん、これらの不調がすべて隠れ貧血によるもの、というわけではありません。原因は人それぞれ。いくつも重なっていることもあります。ただ、「更年期だから仕方ない」と片づけてしまう前に、鉄という視点も持っておくと、対策の幅が広がります。
鉄は、酸素を全身に届ける役割を担っています。鉄が足りないと、体のすみずみまで酸素が行きわたりにくくなり、だるさや息切れ、疲れやすさとしてあらわれます。
さらに鉄は、心を安定させる脳内物質(セロトニンなど)をつくるのにも関わっているため、不足すると気分の落ち込みや集中力の低下につながることもあると言われています。
なぜ、ゆらぎ世代は鉄が不足しやすいの?

「気をつけて食べているつもりなのに、どうして?」と思うかもしれません。でも、ゆらぎ世代は、鉄が不足しやすいいくつかの理由が重なっています。
月経で鉄を失いやすい
閉経を迎えるまでは、毎月の月経で鉄を失い続けています。とくに更年期に入ると、月経の間隔が乱れたり、経血量が急に増えたりすることもあり、思っている以上に鉄が失われていることがあります。「最近、経血が多いかも」という時期は、鉄の消費も増えやすいのです。
なお、経血量が明らかに増えた、レバーのような塊が出る、という場合は、一度婦人科で相談してみてください。別の原因が隠れていることもあります。
私は子宮筋腫で手術をした経験があります。きっかけはごく少量の不正出血でした。
当時は、経血量が多く、小さいけれどレバーのような塊もありました。月経時にはフラフラする感じがありましたが、私にとってはそれが普通でした。
経血量は人と比べにくいので判断に困りますよね。まさか自分が…と思いましたが、勇気を出して受診してよかったです。
私は、子宮筋腫の治療で月経時の体の負担が減りました
食事量が減ってくる
年齢とともに食が細くなったり、あっさりしたものを好むようになったりして、鉄を多く含む肉や魚を食べる量が自然と減っていくことがあります。
ダイエットや、家族の食事を優先して自分のことは後回し…という方も、知らないうちに鉄が足りなくなりがちです。
鉄を吸収しにくくなる
鉄は、もともと体に吸収されにくい栄養素です。加えて、胃の働きが落ちてくると、食べた鉄を吸収する力も少しずつ変化していきます。
同じように食べていても、若いころより鉄を取り込みにくくなっていることがあるんです。
こうして見ると、鉄不足は「あなたの心がけが足りないから」ではなく、ゆらぎ世代の体に自然と起こりやすいことだとわかりますね
だからこそ、自分を責めるのではなく、「そういう時期なんだ」と知っておくことが、まず大切な一歩になるんだ
気になったら、どうすればいい?


「もしかして、私も隠れ貧血かも」。そう感じたとき、できることが2つあります。
まずは、医療機関で相談を
隠れ貧血かどうかは、自分では判断できません。確かめるには、フェリチン(貯蔵鉄)の値を血液検査で調べる必要があります。
ただ、フェリチンは一般的な健康診断には含まれていないことが多い項目。気になる場合は、内科などで「フェリチンを調べたい」と相談してみてください。だるさや疲れが続くこと、健康診断では貧血を指摘されていないことを伝えると、話がスムーズです。
食事やサプリで、鉄を補う
検査の結果を待つ間も、日々の食事で鉄を意識することはできます。どんな食べ物に鉄が多いのか、吸収を高める組み合わせ、続けやすいサプリの選び方については、別の記事でくわしくまとめています。
実は、鉄は吸収されにくい栄養素。やみくもに摂るより、ちょっとしたコツを知っておくほうが、無理なく続けられます。
無理をする必要はありません。まずは「鉄が足りていないかも」と気づけたこと、それ自体が大きな一歩です。あとは、自分のペースで、できることから始めていけば大丈夫です。


まとめ


健康診断で異常なしでも、鉄が足りていないことがあります。それが隠れ貧血です。
- 鉄には「今使う鉄(ヘモグロビン)」と「貯金の鉄(フェリチン)」があり、健康診断で見るのは前者(ヘモグロビン)だけのことが多い
- だるさ・疲れ・気分の落ち込みなど、更年期とよく似た不調の陰に鉄不足が隠れていることがある
- ゆらぎ世代は、月経・食事・吸収の面から、鉄が不足しやすい
- 気になるときは、医療機関でフェリチンの検査を相談してみる
健康診断で「異常なし」と言われると、つい「それなら大丈夫なはず」と思ってしまいます。
でも、体のしんどさが続いているなら、数字に出にくい部分にも目を向けてみてもいいのかもしれません。
だるさや疲れは、あなたの気のせいでも、怠けでもありません。もしかして鉄かもと気づけたら、それがもう、体をいたわる第一歩です。あなたのペースで、できることから始めていけたらいいですね。
フェリチンの基準値や目標値は、検査機関や専門家によって見解が異なります。検査を受けた際は、必ず医師の判断を仰いでください。
・厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」専門家コラム
女性の健康と栄養について 隠れ貧血の問題
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/colum/colum39.html
・医学書院「医学界新聞」第3488号(2022年)
あなたも見逃している!? “隠れ貧血”(岡田定)
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2022/3488_04








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